今でこそ多くのお客様にご好評いただいている冷凍ロールケーキですが、ここまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。
お店を引き継いだ当初は、ロールケーキを冷蔵販売していました。
しかしある日、お客様のひとことが転機となりました。
「冷凍したロールケーキってありませんか?」と聞かれたのです。
当時は驚きましたが、その方は「贈り物に持って行く時、冷凍なら冷たさが保てるし、半解凍の状態でも美味しく食べられそう」とおっしゃっていました。

冷蔵販売では売れ残りを廃棄せざるを得ない日もあり、せっかく作ったケーキを誰にも食べてもらえずに捨てることに、心を痛めていたのも事実です。
フードロスの問題にも直面し、「冷凍であれば保存が効き、無駄なく届けられるのではないか」と考えるようになりました。
最初の頃は冷凍に対するお客様の抵抗もあり、また、冷凍することで生地のしっとり感やクリームの口当たり、甘みの広がりなどが損なわれてしまい、課題も多くありました。
けれども、お客様との会話や自分自身での試作を繰り返しながら、少しずつ改良を重ねていきました。
生地の食感やクリームのなめらかさを大切にし、冷凍しても味や風味を損なわないように改良を重ねた結果、ようやく納得のいく冷凍ロールケーキが完成しました。
今では、しっとりとした食感と深い甘みが楽しめるロールケーキとして、多くの方にご支持いただいています。
さらに、冷凍保存によって製品バリエーションも大きく広がりました。もともと5種類だったロールケーキも、今では季節限定品やフレーバーを含めると、約20種類にまで増えました。
冷凍販売が可能になったことで、ネット販売にも対応できるようになり、東京をはじめ全国からご注文をいただくようになったのです。遠方では山口県など、他県から直接買いに来てくださるお客様もいらっしゃいます。
これからも「美味しさをそのままに届けたい」という想いを大切に、より多くの方に楽しんでいただけるよう努力を続けてまいります。
